対馬市立東部中学校の生徒が作った教材が海を越え、世界の子どもたちのもとへ！

2025年11月17日

こんにちは！僕の日常公式サイトの Otoha（音葉 / 男 / 兄弟・姉妹の長男）です。

今回は、長崎県対馬市にある対馬市立東部中学校で、生徒さんたちが「世界とつながる学び」という素敵なプロジェクトに参加したお話をお届けします。

離島から世界へ！生徒たちの創作が海を渡る

2025年11月7日、特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクトさんの講演会が対馬市立東部中学校で行われました。生徒さんたちは7月の導入講演で世界の現状を学んだ後、「今、自分にできること」をテーマに探究学習を進めました。

その結果、9月1日の中間発表では、対馬や日本の文化、地域の課題を前向きな価値に変えた「未来の架け橋教材（Future Bridge Learning Kit）」をたくさん作り出しました。この教材は、12月にカンボジア、1月にシリア、2月に南スーダンへと届けられ、現地の子どもたちの学びのために使われる予定です。

「CoRe Loop」で深まる学び

このプロジェクトは、「CoRe Loop（つくる→届ける→共創→還る→拡張）」というサイクルで進められています。生徒さんたちが作った教材が海外で使われ、その時の反応（手紙や写真、動画など）が再び学校に戻ってくることで、生徒さんたちは「自分たちが役に立っている」という当事者意識や、何かを成し遂げられるという自己効力感を高めていきます。

なかよし学園さんは、今年、全国50校以上、約1万人規模でこのモデルを展開しており、前期にはカンボジア、ケニア、シリア、ルワンダなどで教材が使われ、そのフィードバックが各学校に還元されてきました。

世界の歴史と現実に触れて「自分ごと」に

講演会では、これから教材が届けられるシリア、南スーダン、カンボジアなどの歴史や現状について、なかよし学園さんの現地パートナーとオンラインでつながり、紹介されました。長期にわたる紛争や復興途上の状況、教育や保健の課題を知ることで、生徒さんたちはニュースの中の出来事を「誰かの役に立つ学び」として、より身近なこととして捉え直しました。

シリア：2011年以降の長期紛争で学校やインフラが大きな被害を受け、学用品や教材が不足しています。学び直しが必要な子どもたちがたくさんいます。
南スーダン：独立後の内戦や治安不安、洪水などの影響で学校に通い続けることが難しい子どもたちが多く、読み書きや算数の基礎学習、心のケアができる教材が求められています。
カンボジア：内戦や虐殺から回復してきましたが、農村部では教育の格差が残っており、子どもたちが「楽しく、自分ごととして」学べる実用的な教材が役立ちます。

対馬市立東部中学校の生徒さんたちが作った「未来の架け橋教材」は、例えばトントン相撲やビニール袋の凧、習字カードなどです。これらは手に入りやすい材料で作ることができ、文化紹介や言語、理科（力学や空気）、算数といった様々な要素を学ぶことができる、軽くて強い学びの道具です。

これらの教材がシリア、南スーダン、カンボジアに届けられ、現地の子どもたちと一緒に遊び、学び、そして時には作り替えるという「共創のプロセス（CoRe Loop）」に入ることで、対馬の生徒さんたちは教科書やニュースで知る出来事を、顔が見える「自分の相手」の物語として感じることができます。そして、現地から届く写真や手紙、短い動画が「届けた」ことが「つながった」証となり、当事者意識や自己効力感、地域への誇りが育っていくでしょう。

Peace Batonと『はじめてのナガサキ』

なかよし学園さんはこれまで、広島平和記念資料館が発行する「はじめてのヒロシマ」を全国の生徒児童に英語翻訳してもらい、世界各国での平和教育に活用する「Peace Batonプロジェクト」を行ってきました。

東部中学校の生徒さんたちは、このPeace Batonの一環として、なかよし学園さんが制作する絵本『はじめてのナガサキ』にイラストで参加します。生徒さんたちは、自分たちの言葉と絵で被爆の記憶を世界に伝え、「願う平和から、行動する平和へ」を形にしていきます。

この絵本は既に本文が完成し、長崎原爆資料館の確認も得られています。完成後には、なかよし学園さんの平和授業（海外での実施）で活用される予定です。対馬から生まれた表現が、シリアやアフリカ諸国など、復興や平和を目指す地域の学びに直接つながり、現地からの手紙や写真、動画という「反応」が再び教室に届くことで、CoRe Loopを実感できる素晴らしい取り組みです。

学校関係者と代表からのメッセージ

平山善行校長
「実際に世界で活動されている中村さんから世界のビジョンを見せてもらったことで、子どもたちが何かを考えるときの視野が確実に広がりました。今後、対馬からイノベーションを起こす生徒が出てくることを楽しみにしています。」

竹末寿百教諭
「これまでの平和・人権学習と違い、自分たちがアクションを起こせる点が新しく、ずっと探していた学びの形でした。“つながる経験”が子どもたちを大きな視野へ押し上げてくれます。『はじめてのナガサキ』が世界に届く日が今から楽しみです。」

なかよし学園代表・中村雄一さん
「日本の“ふつう”は、世界では“すごい”になります。合唱、工作、凧、書、どれも世界を動かすチカラです。私たちは、日本の良さを世界の力に、世界の現実を日本の学びに変え続けます。東部中のみなさん、一緒に平和を前に進めていきましょう。」

今後のスケジュール（予定）

12月：カンボジアで教材実装（凧・トントン相撲・書などを活用）
1月：シリアで平和学習・文化交流（合唱動画・平和教材）
2月：南スーダンで学びの共創（低コスト教材・生活工夫の共有）

このプロジェクトは、経済産業省の「探究・校務改革支援補助金」にも採択されています。全国50校以上の小・中・高・特別支援学校・フリースクールが参加し、ケニア、シリア、ルワンダ、南スーダン、カンボジア、東ティモールなど様々な国で教材が活用されています。

お問い合わせ

特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクト

TEL：047-704-9844
E-mail：nakayoshigakuen.office@gmail.com
Web：http://www.nakayoshigakuen.net/npo/index.html